大麻の話|CBDとは?

ここ数年でCBD製品(カンナビノイド製品)の認知度は高まってきましたが、最近ではCBNやHHCを主成分とした新たなカンナビノイド製品も賛否ありつつ話題となっています。そんな中でCBDを解説するのも今更感がありますが、原点に立ち返って自分なりに整理してみました。予備知識のない方にも分かるようにまとめたつもりなので、はじめての方にもなるほどなあと興味を持っていただければ幸いです。

 

■CBDは大麻から抽出した成分


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>CBDはカンナビノイドの一種

「CBD(カンナビジオール)」とは、大麻特有の成分「カンナビノイド」の一種です。大麻に含まれる成分ですが、精神作用はありません。大豆で言うところのイソフラボンみたいなものですが、この地球上でCBDを含有する植物は大麻(Cannabis sativa L.)しか存在しません。

CBDは抗てんかん作用を始めとして、神経保護作用・抗酸化作用・抗炎症作用・鎮痛作用・抗不安作用・抗うつ作用などが評価されているため*1、大きな注目を集めています。ここ数年で価格が下がり、安価に手に入りやすくなったこともブームの要因です。

>精神作用があるのはTHC

大麻には100種類以上のカンナビノイドが存在すると言われていますが、主要なカンナビノイドは前述のCBDと「THC(テトラヒドロカンナビノール)」となります。そして、いわゆる「ハイ」になる精神作用があるのがTHCです。伝統的な嗜好品としての大麻アイデンティティTHCと言っても差し支えありません。

THCの含有量が多い品種は主に医療用・嗜好用として「医療大麻」とか「マリファナ」とか呼ばれていて、THCの含有量が少ない品種は主に産業用・食用として「産業大麻」とか「ヘンプ」とか呼ばれています。

 

■CBD製品は割とどこでも買える


ECサイトが主流

海外では医薬品の主成分としても使用さているCBDですが、日本国内では医薬品としては認められておらず、健康増進や美容を目的とした健康食品・ヘルスケア用品・美容品として広く販売されています楽天市場などのECサイトで「CBD」を検索すると、ベイプ・オイル・グミ・クリーム・フェイスパックなど、様々な商品が販売されていることが分かると思います。

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楽天市場

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@COSME SHOPPING

>実店舗も増えてきている

実店舗も増えていますので、Google Mapで検索すれば近所にCBDショップを見付けられるかも知れません。最近はドンキホーテのCBDコーナーも勢力を拡大してるみたいです。

 

■CBDの効果


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>医薬品としての効果

2017年のWHO/ECDDによる報告書『カンナビジオール(CBD) 事前審査報告書』では、CBDの臨床利用はてんかん治療で最も先進的とされています。

その他にも「CBDが治療効果を有する可能性のある疾患」として、アルツハイマー病・パーキンソン病多発性硬化症ハンチントン病・低酸素虚血性脳障害・疼痛・精神障害・不安・抑うつ・がん・吐き気(悪心)・炎症性疾患・関節リウマチ・感染症・炎症性腸疾患とクローン病・心血管疾患・糖尿病合併症などが列挙されています*2

但し、現在日本国内で流通しているCBD製品については医薬品ではなく健康食品や美容品となりますので、疾患の治療・予防を目的として使用するものではありません。

>美容品としての効果

『表示名称、原料、処方例の検索ができる化粧品技術者のためのデータベースサイト:Cosmetic-info.jp』によると、CBDの配合目的は、抗アクネ剤・酸化防止剤・薬用収れん剤-皮膚防御剤・皮膚保護剤・皮膚コンディショニング剤とされています*3

肌の調子を整える他、CBDの持つ抗酸化作用からアンチエイジング効果も期待して使用されているようです。商品パッケージの成分表示としては「アサ種子エキス」「アサ種子油」などと表現されている場合もあるようです。

>個人的な使用目的

使用している製品はベイプタイプ(煙を吸引するやつ)ですが、個人的な使用目的としては、リラックス・ストレス緩和・集中力を高める・ついでに健康になれたらいいなという感じで、1年以上愛用しています。
独特な体感が楽しめることもCBD製品の魅力だと思いますが、使用しているのはマイナーカンナビノイドのCBNやCBGも多めに配合されているっぽい商品なので、CBD単体だと体感が違ってくると思います。

 

■CBDが効く理由


>エンドカンナビノイドシステムの調整

CBDを始めとするカンナビノイド大麻特有の成分ですが、動物の体内にも「内因性カンナビノイドと呼ばれる大麻のそれによく似た神経伝達物質的なものが存在しています*4。この内因性カンナビノイドが体内であーだこーだすることによって、脳や臓器のバランスをいい感じに保ってくれているらしく、この機能は「エンドカンナビノイドシステム」と呼ばれています。

何らかの理由でエンドカンナビノイドシステムが上手く機能していないと、自律神経失調症のように様々な身体上の不調が現れてしまうと言われています。CBD製品などの植物由来のカンナビノイドを外から取り入れることによって、エンドカンナビノイドシステムのバランスが整えられて不調が改善したりするのが「効く理由」ということみたいです。

アントラージュ効果

CBDやTHCの成分を単体で摂取するよりも、大麻に何種類も含まれるカンナビノイド・テルペノイドなどの成分は合わせて摂取する方が望ましいとされています。様々な成分がポジティブな効果を増幅したりネガティブな効果を抑制したり相互作用するとされているためで、このことはアントラージュ効果」と呼ばれています。

CBD製品の成分抽出法には「ブロードスペクトラムTHCだけ除去)」「アイソレート(CBD単一)」などがありますが、アントラージュ効果を狙うのであればブロードスペクトラムの製品を選ぶ必要があります。「フルスペクトラム(全部入り)」という抽出法もありますが、これにはTHCも入ってしまうので日本では扱えません。

 

■CBDは脱法薬物ではない(念のため)


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>CBDを含有する製品の輸入は認められている

日本で「大麻」と言うと「違法薬物」を連想されがちなので、「大麻から抽出された成分」というと「脱法薬物」みたいなイメージを持たれてしまう方もいるかもしれません。ですが、麻薬取締部のウェブサイト上で、大麻の成熟した茎や種のみから抽出・製造されたCBDについては大麻取締法上の「大麻」に該当しない旨が明言されています*5

>部位規制と成分規制

具体的には、大麻取締法では大麻の花穂・葉・枝=「部位」が規制されていて、麻薬及び向精神薬取締法では化学合成由来のTHC=「成分」が規制されているため、大麻の成熟した茎や種から抽出・製造されたCBD」はどちらにも該当せず規制の対象となりません

厳密に言えば「規制部位が使用されていない大麻草由来のTHC」については規制対象とならないはず?かも知れませんが、そうゆう訳にもいかず、もはやルールがややこしいので「大麻の部位に関係なく大麻草由来のCBDはOKにしましょうね」とする動きもあるそうです*6

 

■CBDの安全性


日本ではまだ大麻=危険といいうイメージを持たれてる方も少なくないと感じますが、チューインガムが違法とされる国があるように、合法ならば安全・違法ならば危険ということは決してありません。
CBD の安全性に関する権威ありそうな機関の見解ついては、WHO/ECDDによる『カンナビジオール(CBD)の批判的審査報告書』の概要で以下の通り記述されています*7

-ヒトにおいて、 CBD は乱用あるいは依存可能性を示唆する作用を示さない。

-CBD は良好な安全なプロフィールをもち、一般的に良好な忍容性(許容性)がある。

-現在のところ、CBD の嗜好使用のエビデンスや純 CBD の使用に関連した公衆衛生上の問題はない。

要するに、CBDの安全性について心配する必要はありません。なんなら精神作用のあるTHCを含む大麻草全草ですら、耐性や身体依存性が弱い上に現実的な致死量はないとも言われ、これまで大麻の過剰摂取による死亡例は報告されていません。用量に限った話ですが、この安全性の高さは大麻のアドバンテージの一つだと言えます。