ロシア・ウクライナの報道について

2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻のちょっと前ぐらいから、報道がロシア・ウクライナの話題で持ち切りになっていますが、基本的にはロシアの不当性とウクライナの正当性を訴える報道に終始してる感じです。なんだか一方の主張に寄り添い過ぎてる報道に違和感があり、ちょっと危ういなと思うところがあったのでメモしておきます。

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ドキュメンタリー「ドンバス」より|2015年のドンバス

>ロシア批判とロシア人憎悪は違う

「先に手を出した方が絶対に悪」という理論と、戦争犯罪やジェノサイドの疑惑により、国家としてのロシアは所謂「国際社会」から大バッシングを受けて、一般のロシア人への憎悪すら高まりつつあります。

ウクライナで起こる不都合の全ては証拠が確認できたかどうかに関わらずロシアが原因とされ、日本を含めた欧米側の多くの国は経済制裁だとか対立国のウクライナへの兵器提供を含む支援を続け、国連はもはやロシアの言うことは信用しませんという態度になりました。

そんな状況なので、一般のロシア人への憎悪も表面化しつつあり、例えば旅館がロシア人とベラルーシ人の宿泊を拒否したり(結局訂正した)、客から「不快だ」と苦情が来るっていう理由からJRの駅からロシア語案内の撤去となったりしました(結局戻した)。

最終的にはどちらも冷静に判断されましたが、こうゆう差別的な発想が企業レベルでも表面化しているのは結構危ういと思います。国家としてのロシアの行いを批判することと、一般のロシア人を憎悪することはイコールではありません。正常な倫理観の範疇のことですが、まずここは冷静にならないといけません。この戦争の原因に民族排斥的な思想も大きく関わっていますが、民族差別は争いを生むからです。

 

ウクライナで起こってた事を知った上で考えてみる

主流メディアの報道の「印象」をそのまま受け取ると、ネット上での意見の多くが極端なウクライナ擁護と極端なロシア批判が大半になっているのも仕方ない事なのかも知れません。ただ、2014年からウクライナで何が起こってたのかを見てみると、まだ確証のないロシアの戦争犯罪やジェノサイドの疑惑が、本当に報道されている通りなのか疑わしくなってくると思います。

過去の出来事について知る為にちょうどいいドキュメンタリーがあったので、アーカイブしておきたいと思います。

 

ウクライナのネオナチについて

今回の軍事侵攻の口実となっているウクライナ国内のネオナチの存在について、「そんなものは存在しない」と言われたり、「存在はするけど怪しいモノではありません」と言われたりします。最近の報道では後者のスタンスのようですが、これについては以下の記事が丁寧にまとめてくれています。

 

>ロシアの工作員疑惑とかウクライナのインターネット・アーミーとか

ネット上でロシアを擁護していると思われる発言は、親ロシアの工作員がインターネットで自国に有利となる情報を拡散しているという疑惑もあります。

一方で、ウクライナでは政府が主幹となって「インターネット・アーミー」という活動を展開しているという事実があります。

また、アメリカではTikTokインフルエンサーに対してロシアのウクライナ侵攻問題に関する「真実」を広めるキャンペーンへの参加を要請し、月最大1000ドル(13万円弱)の協力金支給が認められているそうです。

いずれも、一般の人の協力によって世論を味方に付けるという意味では同じようなことだと思います。

 

>報道が常に正しい訳ではないということ

今回の軍事侵攻以前から、日本を含めた欧米側の報道とロシア側の報道では真っ向から主張が対立しがちです。どちらが正しいのかはさておき、どちらかがウソを付いているという事だけは間違いありません。これを常に「ロシア側がウソをついているに違いない」で片付けられれば分かりやすいですが、必ずしもそうとは限りません。(ロシアがウソをつかないとは言いません)

つまり、グローバルな報道機関や国家ですら不都合な事実を隠して都合の良いウソをつくということが当たり前に行われているのが今の社会という事です。情報戦とか認知戦とか言えば何となく聞こえがいいかも知れませんが、やってることは欺瞞です。それだけ「事実」よりも「世論」の方が政治的決定に与える影響が大きいということだと思います。(ただ、主流メディアの報道もよく見ると「〜か」みたいに断定を避けたり、「証拠は確認していない」と添えてみたり、逃げ道を用意してる場合もあります。)

悪質な印象操作やウソに振り回されて正義感や憎悪の感情を浪費して市民同士が対立するのは無意味だし、世論が形成されるレベルで多くの人が判断を誤ると物事が悪い方向へ進んでしまいかねないので、もう少し冷静になった方がいいかなと思いました。