大麻の話|CBD製品の選び方

CBD製品には、グミ・チョコ・コーヒー・ビール・オイル・ベイプ・クリーム・美容液・シャンプー・入浴剤ほか、色んな種類があり過ぎます。選択肢が多いのはいいけど、CBDを初めて使ってみようと思った方にとっては何から手を付けていいのか分からなかったりします。

また、CBDは人によって効き方も違ったり(お酒の代謝に個人差があるのと同じ)、目的によって最適な使い方も変わってきたりします。

ここでは製品を選ぶ際の参考にできるように、摂取方法による効き方の違いとか、気を付けておいた方がよさそうなポイントを整理してみました。

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■CBDの基本的な事を理解しておく


最低限知っておきたいポイントについては前回の記事を読んでみてください。

tatsuya-kk6.hatenablog.jp

ネットには他にもたくさん記事が出てるし、本も色々出てるので、熱心な方は以下のおすすめのウェブサイトや本から更に詳しい情報を見ることをおすすめします。

>おすすめのウェブサイト

どれもCBDに限定せず広く大麻全般に関して興味を引く記事が多くて、科学的根拠に基づいた信頼性の高い情報になってる感じがするのでおすすめします。

  • ASA Magazine大麻の認知度を広め、地球と私たち人間の健康を取り戻すことを使命として創設された、大麻を知る・学ぶためのウェブメディア。
  • GREEN ZONE JAPAN医療大麻に関する正しい知見を広く普及させることを目指した一般社会法人"GREEN ZONE JAPAN"のウェブサイト。
  • Project CBD大麻草の成分の医療利用に関する研究の奨励と啓発のための活動を行うアメリカの非営利団体"Project CBD"の日本版ウェブサイト。

>おすすめの本

雑誌から攻略本まで色々ありますが、比較的最近のものをおすすめに挙げておきます。

 

■使用目的を決めておく


CBDの作用機序は複雑で分かっていない事も多いですが、基本的には「身体に備わっているECS(エンドカンナビノイドシステム)の働きを調整してくれる事によって、不調や疾患の症状が改善する」という感じです。言い方を変えると、ECSの不調が多くの不調や疾患の原因となり得るという事です。これがCBDが多くの症状に効果がある理由で、CBDが何かしらの症状の緩和や治療だけでなく、病気の予防や健康促進のために使用する価値があることを意味します。

という訳でCBDの効果はものすごく幅広いので、まずは自分の中で「なぜCBDを使いたいのか」を決めておかないと、自分に合った製品を選ぶことができなかったりします。ここには、実際のところCBDがどんな目的で使用されているのか、いくつかの例を挙げてみます。

>不調の改善

CBDは、内臓の不調から肌の不調、精神的な不調まで幅広くカバーしてくれるポテンシャルを持っています。比較的身近な症状としては、不安・気分障害睡眠障害・疼痛・頭痛・生理痛・腸の不調・吐き気・肥満などに効果があると言われ、スキンケアにも適しています。

>健康促進(ウェルネス

CBDは生体の恒常性(ホメオタシス)の維持に役立ってくれるものなので、そもそも健康な人がサプリとか養命酒みたいな気持ちで使ってるという場合もあります。CBDさえ摂っておけば健康になれる訳ではありませんが、長期に渡って低用量のCBDを摂り続けることで健康レベルが向上し、病気の発症や再発を予防してくれる可能性があると言われています。心を落ち着かせてくれるので、サウナや美容サロン、ヨガやメディテーションのお供としても相性が良いです。

>リラックス集中力の向上

CBDの抗不安作用や鎮静作用から、ストレスや不安を和らげてリラックスするために使われる事が多いです。また、CBDは心を落ち着かせてくれるのと同時に、意欲や集中力に関わるドーパミンのバランスも整えてくれるので、集中力を高めたい場面で使われることもあります。

>スポーツ/フィットネス

CBDはスポーツやフィットネスの世界でも人気があります。CBDの抗炎症作用・鎮痛作用・睡眠の質を改善する作用により、運動後の疲労回復を早めてくれたり、痛みを和らげてくれる効果があるためです。また、前述の通り集中力を高めてくれて、ランナーズハイに関わる脳内神経伝達物質にも作用し、「ゾーン」に入るのを助けてくれるとも言われています。ですが、CBDはアスリートに不当な優位性を与えるものではなく、あくまで薬用サプリメントとして考えられており、2018年にはオリンピックの禁止物質リストから外されました。

>疾患の治療

CBDは、アルツハイマー病・パーキンソン病多発性硬化症脳損傷うつ病・がん・心疾患・糖尿病などの比較的重い病気や疾患の治療にも効果があるとされています。但し、医薬品として認められているCBD製品は海外にごく1部あるのみで、日本では医薬品として認められていないことを念頭に置きつつ、疾患の治療やその補助を目的としてCBDの使用を試みる場合には必ず医師と相談してください

>ペット用

全ての脊椎動物には大麻の有効成分に反応する機能であるECSが備わっていて、犬猫のものは人間のそれと似ていると言われます。CBDが動物に対して人間と同様の効果があるのかはまだ研究が進んでいないっぽいですが、少なくとも犬の疼痛緩和やてんかんの症状緩和には効果があったようです。

つまり、CBDが動物に作用するかしないかで言えば作用するので、ペットの健康促進のためにCBDを使用するのも一つの選択と言えます。通常の(ヒト用の)CBD製品には動物にとって望ましくない成分が含まれている場合もあるので、必ずペット用として販売されている製品を使用するようにしてください

 

■摂取方法で選ぶ


CBDの主な摂取方法は舌下摂取・経口摂取・吸引・経皮摂取です。どれでもCBDを摂取することができますが、摂取方法によって効果の発現時間や持続時間が変わったり、バイオアベイラビリティ(吸収率的なもの)も違います。使用目的に合わせて、自分に適した摂取方法で製品を選んでみてください。

*CBN(カンナビノール)について

最近はCBNを多めに含有する製品に人気がありますが、CBN特有の弱い精神作用(ハイになる程ではない)によって「効果の発現」を体感しやすく、リラックス効果も深くなるためです。また、効果の発現を体感しやすいことで適量を探りやすくなるというメリットもありますCBNの医療利用としては、鎮痛作用・抗炎症作用・抗菌作用・食欲増進作用などが期待されていると言われています*1

>舌下摂取(オイル/ティンクチャー)

・効果が発現するまで  :15分〜1時間

・効果の持続時間    :2〜9時間

・バイオアベイラビリティ:6〜35%

オイルを舌の下に垂らし、1分ほど溜めて粘膜吸収してから飲み込むという方法です。CBDは口腔粘膜から直接血中に吸収され、全身に広がります。効果の発現がまあまあ早く、持続時間はそこそこ長く、用量も調整し易いので最も扱い易い方法だと思います。医療利用の際にもこの舌下摂取が一般的となっているそうです。

>経口摂取(エディブル)

・効果が発現するまで  :30分〜2時間

・効果の持続時間    :6〜12時間

・バイオアベイラビリティ:6〜15%

食品やサプリなどで摂取する方法です。CBDは消化器から吸収され、肝臓で代謝された後に全身に広がります。効果が発現するまでの時間が長く、効果の持続時間も長いのが特徴です。食事と一緒に摂取するよりも、空腹時に摂取した方が効果の発現が早くなると言われています。

すぐに効果が欲しい場合には適さない方法ですが、食品として摂取できるので初心者にもハードルが低く、おすすめしやすい方法です。また、経口摂取したCBDは消化器官の受容体にも作用するため、過敏性腸症候群などの症状の緩和には適した方法です。

*水溶性CBDについて

CBDをはじめとするカンナビノイドは、そのままの状態だと油に溶けやすい脂溶性ですが、水に溶けやすい水溶性の状態に加工(可溶化)された製品もあり、CBD入りの飲料にはこの水溶性のCBDが使われがちです。水溶性となったCBDは身体に吸収されやすくなるため、効果の発現が早まりますが、持続時間は短くなります

>吸入(ベイプ)

・効果が発現するまで  :数秒〜15分

・効果の持続時間    :2〜4時間

・バイオアベイラビリティ:17〜44%

煙や蒸気を吸い込んで肺から摂取する方法です。CBDを適量を吸引したら、続けて空気だけを深く吸い込み、しばらく肺に溜めてから吐き出すようにしてください。こうすることで、CBDを肺の奥に送り込んで無駄なく摂取することができます。CBDは肺の血管からすぐに中枢神経や脳に作用を始めるので、即効性があって持続時間が短いのが特徴です。

*ワックスとリキッド

リキッドタイプの製品は、カートリッジを使い切ったら交換するだけでウェポライザーのメンテナンスが不要で、電源操作もシンプルなものが多く、非常に扱いやすくて人気があります。但し、リキッド状にするためにCBDを溶剤に溶かしているので、CBD以外の余分な物質の割合が大きくなります舌下摂取するオイルもCBDをキャリアオイルに混ぜたものです。

ワックスタイプの製品は、ちまちまウェポライザーに補充したり、加熱の具合を調整したり、汚れてしまう部品をたまにクリーニング/交換する必要があったりと、圧倒的な面倒臭さがあります。ですが、リキッドと違って溶剤に溶かしたりする必要がないので、高濃度な商品が多くてコスパが高いというメリットがあります。

>経皮摂取(クリームなど)

・効果が発現するまで  :数秒〜30分

・効果の持続時間    :2〜4時間

・バイオアベイラビリティ:不明(低め)

クリームなどを皮膚に塗る方法でです。CBDは血中に取り込まれず皮膚の受容体を通して作用するため、効き目は局所的なものとなりますエタノール・メントール・ショウノウなどの透過性促進剤を含んだものは、よりCBDの浸透率が高くなるそうです。

筋肉痛・関節痛・皮膚炎などの症状によく用いられるそうですが、CBDの抗酸化作用・抗炎症作用・抗菌作用により、スキンケアにも最適と言われます。

*微妙な商品

CBD入りのシャンプーやスポーツウェア(?)など、本当に十分な量のCBDを摂取できるのか何とも言えない商品も多く出回っています。最終的には自分の好みですが、CBDを体内に摂取するのが目的であれば、他の確実な方法を選んだ方が良いかも知れません

 

■気を付けておきたいこと


法整備の事情でCBD製品にはあんまり厳密な成分表示や品質管理の基準がなかったりするので、時々怪しい製品を見かけたりします。また、用量についても「自分にとっての適量」は自分の感覚で探っていくしかありません。製品を選ぶ際・使う際に気を付けておきたいポイントをまとめておきます。

>製品の選び方

  • 信頼できそうなメーカーを選ぶTHCなどの違法な成分を含有せず、有効な成分がきちんと含有されていることを示す成分分析証明書(COA)を公開しているところが比較的安心です。それすらも偽装している悪質な販売者も存在しますが、不安な場合はウェブサイトの情報をよく見たり、直接問い合わせするなどして判断してください。
  • ブロードスペクトラムを選ぶ:CBDは単体(アイソレート)で摂取するよりも、大麻草に含まれる他のカンナビノイドやテルペンなども合わせて摂取した方が、アントラージュ効果により低用量のCBDでも効果が現れやすくなります。なので、基本的にはブロードスペクトラムを選ぶのがおすすめです。
  • 添加物を避ける:CBDそのものが安全であっても、添加物はそうとは限りません。健康志向の製品を摂取する際に健康を害する可能性のある添加物も摂取していたら元も子もないので、エディブルであれば普段気にしている範囲内で食品添加物に注意しつつ、ベイプであればPG・VG・MCTオイル・ビタミンEアセテートなどを含むものはなるべく避けた方がよいです。

>用量について

  • 二相効果に注意:CBDは低容量と高容量で逆の作用が現れる場合があり、たとえば、高容量では鎮静作用がありますが、低容量では覚醒作用があります。「一定の容量を超えると特定の作用が弱まる場合がある」という言い方もできますが、これを「二相効果」と言います。睡眠改善のつもりでCBDを摂取したら目が冴えてしまったみたいことが起こり得るので注意が必要です。効果に慣れて適量を把握できるまでは、就寝の数時間前などリラックスできる環境で使用してください。
  • 適量は自分で決める:遺伝的な体質や健康状態よって、CBDの用量にはかなり大きな個人差があります。1mgで効果がある人もいれば、2,000mg以上の高容量を摂取しても副作用がない人もいると言われるくらいです。摂取方法の違いで必要な量も変わったりします。二相効果の性質もありますので、高容量なほど良いというものでもありません。少ない量から始めて、徐々に増やしていくようにしてください
  • 副作用を知っておく:CBDそのものが原因となる深刻な副作用は特にありませんが、口の渇き・脱水・低血圧などの副作用はあります。お水は十分に摂取しつつ、元々低血圧な方は用量に注意してください。また、何らかの疾患の治療のために服薬中の場合は、CBDとの併用(薬物相互作用)に問題がないか医師に相談してください。